キース・ムーン、ザ・フー加入の経緯などを語る (1/8)
「DRUM! Magazine」誌サイトに2013年8月に載ったもの。元は1972年4月の「Melody Maker」紙の記事とのこと。原題からして「Rare Interview」なんてなってて、確かにかなり貴重だろうと思う。
→ DRUM! Magazine | Moon Probe: A Rare Interview with Keith Moon
ドラムスを始めたのは、いつですか。
- 12年くらい前かな。友達がドラムセットとレコードプレーヤーを持ってたんで、そこに行っちゃ、レコードに合わせて叩いてた。その頃は、絆創膏の営業をやってたんだ。
最初のバンドは、どんなでしたか。
- 名前なんかなかったんじゃないかな。あったとしても、マイティ・アヴェンジャーズとかジ・エスコートとか、そんな大人しい名前だよ。それで、シャドウズの曲なんかをやってた。地方のダンスホールや工場のダンスパーティや結婚式とかの伴奏だ。そして、色んなバンドでやって、ザ・ビーチコマーズってのに落ち着いた。
ザ・ハイ・ナンバーズ (ザ・フーの一時的な名前) とは、どんなふうに一緒になったんですか。
-
俺たちは、ザ・ディトゥアーズ (ザ・フーの前身) ってバンドと同じようなクラブ巡りをしてて、「ザ・ディトゥアーズほどじゃないな。奴らは最高だぜ」って言われっぱなしだった。いい加減うんざりしてきて、見に行ってやることにしたんだ。ドラマーが抜けそうだって噂も聞いてた。
-
とんでもない奴らだったな。その頃はどのバンドもスマートに決めるほうだったけど、ザ・ディトゥアーズは衣装もレザーで、むちゃくちゃだった。ピート (タウンゼント) はやたら不機嫌だし、俺は恐ろしくなってきた。クラブのマネージャーに、俺を奴らに紹介してくれ、って頼んだのは、何杯か飲んでて、やれそうな気になってきたんでね。ドラマーのデイヴ (ゴールディング)に近寄ってって、何曲かやらせてくれないか、って聞いたら、いいよ、って返事だった。
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奴らはブルースや「Roadrunner」(ボ・ディドリーの曲) とか、いかした曲を沢山やってて、俺は「Spanish Harlem」(ベン・E・キングの曲) なんかに飽き飽きしてたから、ぜひともこのバンドに入りたいって思った。俺もとんでもなかったんだろうな。髪を黄色に染めて、黄色のスーツを着て、ひどい恰好だった。それが、まさにうってつけだったんだ。何曲かやったら、バスドラムのペダルを壊しちまったし。
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奴らは、飲もうかとは言ってくれたけど、それだけだった。入らないかとも言ってくれなかった。ウェスト・インディアン・クラブでリハーサルをやる、そう言ってたんで、俺は付いてったよ。そしたら、フィリップス・レーベルからクリス・パーメンターってのがドラマーを連れて来てて、レコード契約をちらつかせてたもんだから、他のドラマーを入れたがらなかったわけだ。
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フィリップスの奴もいて俺もいて、何だか居心地が悪かったな。奴は自分のドラムセットを組み立てるし、俺も自分のセットを組み立てるし、誰も何も喋らなかった。バンドがまず俺に一曲やれって言ったら、フィリップスの奴が、自分がやるって言い出した。そいつがやったかどうか、よく憶えてないんだけど、バンドはそいつを気に入らなかった。それで、俺が一緒にいることになったんだ。誰も俺がバンドのメンバーだなんて言ってくれてないよ。ただ、一緒にいるだけなんだ。ほんと、あきれた奴らだったし、今でもそうだ。
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