クリス・カトラー、ヘンリー・カウや即興を語る (3/11)
カトラーの公式サイトに転載されているインタビューで、元は「Traverses」誌の1999年の記事だそうだ。
→ Traverses | History, Cow, Texts, Improvisation - Interview with Chris Cutler
キング・クリムゾンも即興で作品を作ってますよね。
- 後になってからね。ジェイミー・ミューアがいた頃だ。「Larks' Tongues in Aspic」を皆で聴いた時のことを憶えてるよ。まぁ、いいんじゃないか?、って思ったが、あれが自分たち独自のものだって言い分は、なんだか哀れを誘ったな。あれ以外は全然好きになれない。これ見よがしで頭が悪そうだ。もっとも、それは私の見かたであって、賛成してくれなくても構わない。
ヘンリー・カウはいつも「あっち側」にいて、多かれ少なかれ、孤立していたと思います。当時のバンドでは、ファウストやマグマが近かったんではないでしょうか。マグマなんかのフランスのバンドとツアーしたことはありませんか。
- あるよ。1970年代にはマグマと何度もコンサートをやった。ヘンリー・カウのフランスの最初のツアーを企画してくれたのは、マグマの当時のマネージャーなんだ。
イギリスよりもヨーロッパのツアーのほうが多かったんですか。
- その通り。イギリスじゃほとんどやったことがない。やらせてくれる場所もないし、聴いてくれる人もいない。イタリア、フランス、北欧ばかりだったな。どこが新しい音楽を受け入れてくれて、コンサートがやれるかは、その時々で変わっていった。1970年代の初めはオランダ、中頃はフランス、最後はイタリア、そしてドイツだった。
ヘンリー・カウはバンドの曲作りに新しいあり方を持ち込んだと思いますが。
- 我々のやり方は全く違ってたな。曲のだいたいはメンバーの誰かが作っておく。だが、それをバンドに持ってきたら、もう皆のものなんだ。つまり、皆でリハーサルを始めたら、誰もが変えたり意見したりしていい。そして、即興しまくる。即興の中から出てきたものが作曲の中にうまく収まったり、逆に、作曲する中で形作られたものが即興の中で活きてきたりする。
作曲でじっくり煮詰めることと、即興で勢いに任せることとは、矛盾しませんか。
- 即興ってのはすごく大切なんだ。1996年には丸ごと即興だけでツアーしたこともある。当時、そんなロックは普通じゃなかった。だが、我々自身が普通じゃなかったんでね。自分たちでツアーを企画してマネージして、自分たちだけで全てやった。バンドは男3人、女3人で、クルーも男女混成だった。
最近の記事
- 2023/7/29 - ロバート・フリップ、イーノやボウイやクリムゾンを語る (1/4)
- 2023/1/22 - ジェフ・ベックを語る
- 2019/9/21 - トーマス・B・W・ベイリー、日本のインディー系レコード店を語る (1)
- 2019/9/13 - ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムを語る
- 2019/4/27 - ラルフ・ヒュッター、過去をふり返る (1/3)
- 2018/8/2 - パトリック・オハーン、フランク・ザッパなどを語る (1/4)
- 2018/5/23 - トニー・ヴィスコンティ、T・レックス「Electric Warrior」を語る (キャリアを語る (1))
- 2018/4/16 - ドゥイージル・ザッパ、アラン・ホールズワースを語る (1/2)
- 2018/1/11 - デイヴ・グロール、ジミー・ペイジ&ロバート・プラントと語る (1/7)
- 2018/1/7 - アラン・ホールズワース、ファンの質問に答える (1/4)
人気の記事
- 2016/1/26 - トニー・ヴィスコンティ、デイヴィッド・ボウイを語る
- 2015/12/1 - 色んな関係者、ジェフ・ポーカロを語る (1/3)
- 2014/9/8 - ロバート・フリップ、「キング・クリムゾンの掟」を語る
- 2013/9/9 - コージー・パウエル、デビュー当時を語る (自らのキャリアを語る (1/12))
- 2013/2/9 - ラルフ・ヒュッター、クラフトワークの音楽を語る (1/4)
- 2012/7/4 - エドワード・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・ルカサーと語る (1/14)
- 2012/6/1 - スコット・ハルピン、キース・ムーン代役事件を語る (1/2)
- 2012/5/11 - テリー・ボジオ、エイドリアン・ブリューを語る
- 2012/3/31 - 記者、リッチー・ブラックモアを語る
- 2012/1/15 - スティーヴ・ヴァイ、ヴィニー・カリウタを語る