ロバート・モーグ、シンセサイザーを語る (2/10)

01 June 2017  |  Tags: Robert Moog

シンセサイザーの父、ロバート (ボブ)・モーグが、自らの半生などを語っている。Red Bull Music Academyの2003年の公開インタビューより。なお、本人は2005年に亡くなった。

→ Red Bull Music Academy | Bob Moog


そこにサウンドや音楽がどう係わってきたんですか。

  • 当時、電子楽器のサウンドが音楽の世界で重要になり始めていて、私は基礎を学んでたんで、ちょうど良い時にそういう人たちと一緒にいて、手助けしただけだよ。

  • 40年くらい前、1964年に実験音楽の作曲家に会った。当時は実験音楽っていうと、オープンリールのテープレコーダー、(テープ編集用の) カッターと接着テープ、そういう状況だった。マイクで拾った音の断片や電子音はあくまでも添え物だ。

  • 最初に一緒に仕事したのは、ハーブ・ドイチュだ。ロングアイランドのホフストラ大学で音楽の先生をしていて、誰も聴かないような実験音楽を作っていた。当時のニューヨークで電子音楽ってのを知ってたのは、せいぜい100人くらいかな。彼には音楽教師の会合で出会った。そうしたら、私の作ったテルミンを使ってるのが判ったんだ。彼は、「電子音楽」について何か知ってるか、って聞いてきた。思ったよ。「『電子』は趣味で知ってるし、『音楽』はレッスンを受けたことがある」。なので、知ってる、って答えた。テープ編集と電子回路を組み合わせて全く新しい形の音楽を作ろうとしてる人たちがいるなんて、思いもよらなかったんだ。それを彼からすぐに教わった。

  • しばらく後、「新しいサウンドを作るのを手伝ってもらえないか」って聞いてきたんで、「どんな音を?」って聞き返したら、口真似でブーとかビーとか音を出す。それが全ての始まりだ。私は当時の最新技術だったトランジスターってものの知識を持っていたからね。ただ、どうやってVCO (電圧制御発振器) やVCA (電圧制御アンプ) の作り方を思いついたのかは、聞かないで欲しい。ただ頭の中に浮かんできただけだから。


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