ドゥイージル・ザッパ、アラン・ホールズワースを語る (2/2)
4月16日はアラン・ホールズワースの命日だ。もう一年か。これはドゥイージル・ザッパのブログより2017年4月の記事。数ある追悼文の内でも白眉だろうと思う。
→ Dweezil Zappa - Allan Holdsworth
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父が亡くなった後、アランと仲良くなれたのは、本当に幸運だった。彼は実に親切で、父を訪ねてきてくれた時のことを優しく語ってくれた。ほんの何回かだけど、私のバンドとステージで共演してくれたこともある。すごく謙虚で、褒め言葉にはやたら過敏だったりする。彼の演奏のことで、レコードを聴いてでも、ステージで共演しながらでも、何かコメントすると、にっこりしながら「あんなのを聴かせてしまって、申し訳ない (I'm sorry you had to hear that.)」。
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彼の音楽の際だった違いは、誰もが判るとは限らない。だが、判る人には判るんだ。共演してくれた時、彼がステージ上で何度も「すごく緊張してる」と言ってたのを憶えてる。あれだけの才能の持ち主がそんなことを言うなんて、信じられない。だが、自分のなじんだ領分から外に踏み出そうとすると、自分だって同じように感じる。音楽のインスピレーションの扉を開こうとする代わりに、往々にして、自分の創造力を封印してパターンに頼ろうとしたくなる。アランは何ものにも囚われない完全に自由な境地に到達してるのに、だ。そのことが私をふるい立たせてくれる。
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今は「Live in the Moment Part II」って新しいアルバムを作ってる。「Shut Up and Play Yer Guitar」スタイルのアルバムで (ギターソロばかりを集めて作ったって意味か)、最後の仕上げをしてるところに、アランの訃報が飛び込んできた。私は、最近のツアーでのギターソロを掘り出してきて、このアルバムに入れようっていう、やむにやまれぬ気持ちになった。それがアランへの私なりのオマージュだと思ったんだ。私も自分のなじんだ領分から外に踏み出そうとしてる。そして、何ものにも囚われない自由な境地に達したいんだ。その曲は「I'm Sorry You Had to Hear That.」ってタイトルにするつもりだよ。
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アラン・ホールズワース、安らかに眠って下さい。あんなのを聴かせてくれて、有難う。
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