ジョーダン・ルーデス、「Tarkus」「A Trick of the Tail」を語る (プログレの名盤10傑を語る (1/5))
10の内で少なくとも7つのバンドはあまりにベタな選択だし、どうしようかちょっと迷ったけど、とりあえず紹介することにした。「Music Radar」サイトの2012年5月の記事より。
→ Dream Theater's Jordan Rudess: The 10 Greatest Prog-Rock Albums of All Time
エマーソン・レイク・アンド・パーマー「Tarkus」(1970年)
- この和声の世界に俺を導いてくれたバンドだ。クラシックでちょっと聴いたことはあったが、ロックじゃまるで聴いたことがなかった。かっこいいサスペンデッド・コードがあれこれ聴けて、エマーソンはこれが大好きだよね。メジャー・コードの代わりに使って、独特の雰囲気を出す。クラシックの作曲家、アーロン・コープランドあたりから来てんじゃないかな。これを聴いた後、どうしたらあのサウンドが作れるのか、ピアノで色々と試してみたのを思い出すよ。彼のオルガンも強烈だ。それにグレッグ・レイクの声、この組合せが素晴らしい。
ジェネシス「A Trick of the Tail」(1976年)
- ここに挙げたほとんどが、そのバンドで最初に聴いたアルバムだ。ジェネシスもそうで、このアルバムから入った。強烈な印象だった。キーボードのトニー・バンクスの和声のセンスが大好きなんだよ。同じルートの上で色んな三和音を次々に作っていく。ジェネシスの特徴だけど、このアルバムが一番うまく行ってる。これ以前は、まだあまり完成してなかった。フィル・コリンズのヴォーカルも素晴らしいね。
この一連の記事は、ルーデスのソロ「Road Home」を聴きながら読むのがいいかも知れない。ただひたすら褒め言葉を連ねてるだけのバンドもあるんだけど、それだけ言葉にならない深い愛情なんだろうな。
アルバムの「Tarkus」は、ただし (LPでいう) A面に限る、みたいな声もあるけど、曲の「Tarkus」は日本のクラシック界でも好きな人がいて、オーケストラ版やピアノ版があったりする。オーケストラ版の一部は今年のNHK大河ドラマでも聴けるが、ピアノ版 (黒田って女性) もなかなか面白い。ルーデスは、ジュリアード (世界的な名門クラシック音楽学校の一つ) 在学中に「Tarkus」を聴いて人生が変わったって公言してるんで、やっぱりこれが筆頭なんだなと思ったら、好きな順じゃなくて単にミュージシャンのアルファベット順だそうな。
ジェネシスの (プログレとしての) 代表作は、普通ならピーター・ゲイブリエル在籍時のどれかなんだろうけど、脱退後の最初のアルバム、残されたメンバーが渾身の力を込めた「A Trick of the Tail」を持ってきたか。こんな観点もあるんだね。
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