カール・バルトス、ソロアルバムやクラフトワークなどを語る (2/4)
1975年から1990年までクラフトワークのメンバーだったカール・バルトスが、ソロ・アルバム「Off the Record」のリリースに合わせて、珍しく色んなインタビューに答えている。これは「GQ」誌サイトの2013年3月の記事より。
→ GQ | Karl Bartos Post Kraftwerk Interview
未だに「赤シャツに黒ネクタイの男」って思われてるのが気になる、とライナーノーツに書いてますが。
- まぁ、ほろ苦い事実だね。ただ、そんなふうなラベル付けは、電子タグみたいに感じる。
それだけ「The Man-Machine」のジャケットが強烈だったってことでしょう。
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その通り。自慢だとか言うつもりはないが、人生の一部だし、クラフトワークでのキャリアの一部だ。私はクラフトワークに入る前からミュージシャンとして活躍してたし、脱退してからもう20年だし、今まで話さなかったが、そろそろ自分自身の位置づけを話してもいいだろう。それなりの距離が必要だったんだ。このアルバムを作って、ケリをつけることができた。実際、そのために曲 (「Without a Trace of Emotion」) も作ることにしたし。
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家の書斎には私自身のショールーム・ダミーがあって、赤いシャツを着せてある。「カール氏」っていうんだ。それに話しかけるんだよ。「気にしてたって仕方ない。その事実を逆手に取るんだ」。そうやって、逃げずに事実を直視するほど、何だか可笑しくなってくる。彼を作ってくれたのは、ミュンヘンのアーティストだ (ハインリッヒ・オーバーマイアー。目だけは彫刻家サスキア・ルート)。
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カール氏と動画も作ったよ。コメディとは言えないが、面白く作ってある。先週ハンブルグで上映したが、インターネットにも載せるから、観てみてくれるといい。つまり、動画作りも始めたってことだ。彼をあちこち持って行って、これまで6本作った。例えば、自転車用ヘルメットをかぶってツール・ド・フランスの先頭を切ってるみたいなのとか、古い電話機で喋ってるロボットになり切ってるのとか。一切の感情がなくて (without a trace of emotion)、恐ろしくクールだ。それが同じタイトルの曲のテーマにもなっている。
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私はだんだん歳を取って愚かになってきているが、彼は永遠に30歳のままで、まさに私の「ドリアン・グレイ」だな。
「カール氏」の原文は「Herr Karl」で、Herrは英語のMisterに当たるドイツ語。実態は「カールくん」(笑) のほうが座りがいいかも。アルバム・ジャケットにもこの動画にも登場している。
→ Vimeo | Karl Bartos: Without a Trace of Emotion - The Film
ここに出てくる「事実」ってのは、自分が一人のアーティスト、ミュージシャンとして見てもらえずに、昔も今もクラフトワークの (元) メンバーとしてしか見てもらえないことを言ってる。
前回の話にあるように、このアルバムはクラフトワーク時代からずっと貯めてきてた色んな素材を集めて新しく再構成したもので、まさにバルトスの自伝だろう。古風なテクノもあれば、どっかで聞いたようなサウンドやフレーズやリズムも、次々に出てくる。これで気持ちの整理が付いたってことは、次作が本当の独自路線になるのか、ふっきれて1980年代クラフトワークの2010年代的解釈みたいになるのか、それとも、もう次作は無いのか。
「ドリアン・グレイ」って何?、はこちら。
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