キース・ムーン、ザ・フー加入の経緯などを語る (6/8)
「DRUM! Magazine」誌サイトに2013年8月に載ったもの。元は1972年4月の「Melody Maker」紙の記事とのこと。原題からして「Rare Interview」なんてなってて、確かにかなり貴重だろうと思う。
→ DRUM! Magazine | Moon Probe: A Rare Interview with Keith Moon
何が転機になったんですか。
- 信じてもらえるかどうか判らないけど、稼げるようになったのは「Tommy」からだ。それまでは借金ばかりだった。ハーマンズ・ハーミッツとアメリカ・ツアーをやった時も、金が無くなってった。バスでツアーするのが一番安いだろうと思ってたら、それでも何千ドルと消えてくんだ。移動する費用だけでギグの稼ぎを越えるんだから、仕方ない。毎晩毎晩、必ず楽器を壊してたし。もっと丈夫なドラム・セットを買っても、俺はわざと壊してたしね。
ファンも増えましたか。
- ハーマンズ・ハーミッツとのツアーで、ファンも付き始めたな。アルバムじゃなくて、ライブでファンを作ってったんだ。稼ぎってことでも、客の入りってことでも、リスペクトされるってことでも、アメリカでの転機は「Tommy」だった。レコード会社とのいざこざも、奴らが俺たちをちゃんと扱うようになって、だんだん解決してったよ。無料の入場券なんてのも用意してくれるようになった。
「Tommy」の次に何か作るのは大変だったんじゃないですか。
- だから、「Live at Leeds」を作ったんだ。次に続く何かを作るのは無理だった。別の方向に一歩踏み出そうとしたんだ。じゃないと、ピートは一生「Tommy」を続ける羽目になってただろうよ。
「Summertime Blues」は誰が持ってきたんですか。
- リハーサルの時に、「Tommy」に代わる曲が何か要るよな、って話し合ったんだ。で、みんな家で古いアルバムを漁って、「Summertime Blues」とか「Young Man Blues」を掘り出したんだよ。「Live at Leeds」(最初の6曲バージョンのこと) は当時のステージの様子をそのまま表してる。その後は、もっと「Tommy」の曲もやるようになった。
ホテルの寝室を破壊するのは、いつ頃から始めたんですか。
- ホテルが俺をゴミみたいに扱うようになってからだよ。部屋に入ったのに、ボーイが飲み物を持って来ないとかね。それとか、腹一杯じゃステージに上がれないだろ。部屋に食事を持ってくるのに2時間もかかったら、もう頭にきて、全て壁に投げつける。すると、ボーイが支配人が呼んで、俺たちを放り出すってわけだ。
色んなホテルから出入り禁止をくらってるんですか。
- いや、全てのホテル・チェーンからだ。
ドアを爆破する話も沢山ありますが、本当ですか。
- そうだよ。あるホテルで、俺たちが外出してる間に、ホテルが荷物ごと部屋をロックしたんだ。代金はキャッシュで前金で、だとさ。そんなこと何も言ってなかったじゃないか。それで俺はドアを蝶番のところで爆破して、荷物を運び出したんだ。
ドラマーとしての評判に傷がついたりしませんか。
-
俺は偉大なドラマーになろうなんて、ちっとも思ってない。ドラムスに全てを捧げようとか、バディ・リッチになろうとか、そんなつもりはないんだ。ザ・フーでドラムスがやれれば、それでいい。それだけだ。
-
俺が変なのは、俺が映画に興味があるからかも知れないな。ピートは作曲する。ジョンも作曲するし、プロデュースもする。ロジャーは農場を持ってる。俺は映画やビデオに興味があるんだ。
長いオフがあったりすると、欲求不満が溜まりますか。
- そうだね。だから、映画やビデオを始めたんだ。ピートに比べると、俺は良い曲が作れるとは言えない。
オフの間に他のメンバーに会ったりしますか。
- 本当はもっとしょっちゅう会いたいね。こないだミーティングをやったんだけど、どんだけ会いたかったか。ピートは一度来てくれた。ジョンには何度か会いに行った。ロジャーは遠くにいるから、会えないんだ。
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