クリス・カトラー、ヘンリー・カウや即興を語る (2/11)
カトラーの公式サイトに転載されているインタビューで、元は「Traverses」誌の1999年の記事だそうだ。
→ Traverses | History, Cow, Texts, Improvisation - Interview with Chris Cutler
ヘンリー・カウとは、どんなふうに知り合ったんですか。
- 1966年頃かな、すごく変なバンドにいた。ライブをするのもやめたくらいで、プロモーターも、誰も聴かないよ、って思ってた。ひたすら即興演奏で、ジャズってよりノイズだね。やたら実験的だった。ソフト・マシーンとシド・バレット時代のピンク・フロイドの中間くらいって言ってもいいかも知れない。どっちも当時は無名で、我々も聞いたことはなかったが、彼らが有名になってきたら、自分たちが以前やってたのと同じじゃないか、そう思って、自分たちも活動を再開した。その後は、デイヴ・スチュワートのオタワ・ミュージック・カンパニーに参加したりしたが、あれはプロジェクトだったし、一つのバンドにずっといるってことはなかった。何か面白いことをずっと探してて、結局、音楽紙に広告を出したんだよ。それでヘンリー・カウと出会ったってわけだ。彼らはドラマーを探してて、メロディ・メイカー紙で私の広告を見つけたんだ。
ヘンリー・カウは、何か明確なビジョンを持っていたんですか、それとも、ただやりたいことをやっていただけですか。
- 当時のヘンリー・カウは、フランク・ザッパ、ジョン・コルトレーン、ソフト・マシーンあたりから明らかに影響を受けていた。すごく自由な頃で、音楽について、そして自分たちが何をすべきかについて、さんざん語り合った。作り込んだ音楽、こみ入った音楽をやりたい、現代音楽の技法を持ち込みたい、一方で即興もやりたい、その上でロックをやりたい、そう思ってたんだ。つまり、そういうばらばらな要素を、知的で直観的なやりかた、感情に訴えるやりかたで一つにまとめ上げたいってのが重要だったんだ。
ロックの影響とは無縁のロック・バンドってことですか。
- いや、精神はロックだが、うわべはそんなにロックじゃない、そんなふうだ。なので、孤立してたね。カンタベリー系だと思われてるようだが、それは正しくない。いわゆるプログレッシブ・ロック、例えばイエス、ジェネシス、キング・クリムゾンあたりとも、何の関係もない。
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