クリス・カトラー、ヘンリー・カウや即興を語る (9/11)

04 August 2015  |  Tags: Chris Cutler

カトラーの公式サイトに転載されているインタビューで、元は「Traverses」誌の1999年の記事だそうだ。

→ Traverses | History, Cow, Texts, Improvisation - Interview with Chris Cutler


こないだシュテヴァン・ティックマイエルとCDを作りましたよね。ザ・サイエンス・グループ名義の「A Mere Coincidence」ですが、即興なしのように思います。ライナーを読むと、歌詞に時間がかかったそうですが、ずいぶん前から考えていたんですか。

  • サイエンスの歌詞は、かなり前に書き始めた。少しずつ書き足してって、レコード1枚分くらいの分量に持ってったんだ。そして、一通り揃ったところで、シュテヴァンに見せた。私自身は、いつも幾つかのプロジェクトを並行して少しずつ進めてる。

何かのアルバムに向けて歌詞を作るってことはないですか。

  • 時にはそうするよ。例えばアート・ベアーズだ。アルバムのために全ての歌詞を書いた。今は、コソボのことを書いて、フレッド・フリスに見せたりしてる。逆に、頼まれて作ることもある。けれども、特にプロジェクトとか、締切とかがない限り、いつまでも書いてるよ。完成させて欲しかったら、締切をくれ。

「A Mere Coincidence」の時は、シュテヴァンに曲を作ってもらうって決めて、歌詞を作ってたんですか。

  • いや、最初は何も決めてなかった。

では、なぜシュテヴァンと組むことにしたんですか。

  • そうだな。彼は20年以上もよく知ってるし、熟達した作曲家だし、現代的な考えかたができるし、即興も堪能だし、サンプリングやエフェクトのセンスも良いし、歌詞のある曲をどんなふうに料理するか、見てみたかったんだよ。

ボブ・ドレークも主要メンバーですね。

  • 最初はエンジニアとして参加してくれたが、すぐに制作そのものでも重要な役割を果たしてくれるようになった。演奏もミキシングもプロデュースもで、ずっと一緒に仕事して、比重はシュテヴァンにも私にも劣らない。他の面々はゲストとして、それぞれのパートで素晴らしい仕事をしてくれた。つまり、三人のプロジェクトだったんだ。

そのゲストたちは、あなたがルッツ・グランディーンと作った「Domestic Stories」を思い出させるんですよ。女性シンガー、ギタリスト、ホーン奏者っていう同じ取合せなので。それって「ただの偶然 (a mere coincidence)」なんですか。

  • フレッドに頼んだのは、いつも楽しく仕事できるからなんだ。女性シンガーは、女性の声が好きだからだし、男性シンガーを想定して書けるか、よく判らないってせいもある。クリストフ・アンデルスやピーター・ブレグヴァドも考えたが、結局は女性になった。ホーン (木管楽器) は、あの響きが特別なんだよ。ブラス (金管楽器) もいいね。いずれ使ってみたい。クラウディオ・プンティンはクラシックの出だし、アルフレッド・ハースはジャズの出で、やはり違う。けど、確かに楽器の組合せがいつも同じだね。次は変えてみようかな。

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