ギャヴィン・ハリスン、トリプル・ドラムスを語る (3/6)

31 December 2015  |  Tags: Gavin Harrison, King Crimson

キング・クリムゾンのモントリオール公演に先立って、「Montreal Gazette」紙に載った2015年9月の記事より。二部構成になっていて、前半がトニー・レヴィン、後半がギャヴィン・ハリスン。前半の紹介はまたいずれ。地元の一般紙にこんなのが載っちゃうんだから、羨ましい。

→ Montreal Gazette | King Crimson's Tony Levin and Gavin Harrison: the Complete Conversation


トニー・レヴィンは、ドラマーが3人もいるんじゃ自分の入り込む余地がなくなるんじゃないか、って心配したそうですが。

  • ドラマーが一斉にバス・ドラムをダウンビートで叩いて、スネアをバックビートで叩いてたら、そりゃベーシストにとっちゃ嬉しくないだろうね。なので、リズムの中心となるバス・ドラムとスネアは重ならないようにしたんだ。本当にそれが必要な時の他はね。

トニーは、3人のドラムスが前列に並んでるのは、なんだかサーカスで調教されたライオンを見てるみたいだった、とも言ってましたよ。

  • いや、スペクタクルなんだけどな (笑)。バンドの中で最も動きが激しいのは、普通はドラマーだ。それが3人も前列に並んでるんだから、見ものだろうと思うよ。ボーカルを中心にバンドがまわりを囲む、っていう普通の並びよりもね。ジャッコは私の後ろで歌ってるから、ボーカルがフロントでリードだってみたいに、ことさら目立つことはない。たいていのバンドならボーカルがフロントだから、ボーカルが中心に立つのがいい。今回は、パーカッションがフロントにいるオーケストラみたいなものなんだ。

ボーカルが中心でないロックバンドというと、他にはトゥール (Tool) くらいしか思い浮かばないんですが。

  • そうだね。トゥールはボーカルが中心じゃない。私たちはおまけに、観客とコミュニケートしない。「よく来たな」とか「キミタチ、サイコダヨ」なんて言わない。ただ演奏するだけだ。

だからと言って、観客と気持ちが離れてるってことはないですよね。

  • いや、全然。観客が間近なんで、かえって、いつもより観客と一体になってる気分だ。普通は (ドラマーは) ステージの後ろで高い場所にいるんでね。

パットやビルだけでなく、それ以外のメンバーとも一体化できてる気分ですか。

  • 今回の私の場所はステージの左側で、中央に向いて座ってる。なので、バンドの全員が見渡せるんだ。普通なら (ドラマーの場所からは) 観客席の最前列あたりより後ろは真っ暗闇にしか見えないんで (笑)、他のメンバーの演奏が見られるほうが、よっぽど楽しい。それに、演奏せずに、ただキング・クリムゾンを眺めていられる時間も、けっこうあるからね。最高の観客席だよ。

なお、「キミタチ、サイコダヨ」は、ジョン・ウェットンの日本公演での口ぐせで、あえて意訳 (超訳?) (笑)。ここでの原文は「you've been a great audience」。

今日のおまけ:

2015/12/25 にクリムゾンの大阪公演から「Peace」の映像を紹介したが、その映像へのコメントに、「パット (マステロット) から聞いた話だと、クリムゾンは (再結成してから) 全てのコンサートを録画してるそうだ」って書いてある。本当かどうかは判らないけど。

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