グリン・ジョンズ、ボブ・ディラン「Real Live」を語る (代表作を語る (9/9))
「Uncut」誌の2011年12月の記事がウェブに2014年2月に掲載されたもの。1960年代から活躍してるエンジニア/プロデューサーのグリン・ジョンズが、自分の係わった代表的なアルバムについて語っている。そうそうたるラインナップだ。
→ Uncut | Glyn Johns - Album by Album
ボブ・ディラン「Real Live」(1984)
-
ディランに初めて会ったのは、1969年に (ニューヨークの) ラガーディア空港でだ。ヤン・ウェナー (ローリング・ストーン誌の創業者) が紹介してくれたら、こう言うんだ。「ストーンズやザ・ビートルズとアルバムを作りたいんだけど、君ならうまくやれるかな」。本気かよ!って。だが、キース (リチャーズ) とジョージ (ハリスン) は乗り気になってくれたのに、他のメンバーは全然だった。
-
1984年に、ヨーロッパ・ツアーの6公演を収録して欲しいって言ってきた。それで、フランスの初日にステージでマイクを調整してたら、クルーにつまみ出されちゃってさ。その時には、もうディランとは目も合わせなかった。彼は自分の周囲に高い壁を作って、そこら中に手下を置いてた。だが、結局は楽しく喋れるようになったな。
-
最後の公演の後、ラフミックスを彼に送ったら、もう毎日、電話してくる。実に不思議だった。しかも、彼がアルバムに入れたいって選んでくるのは、最も出来の悪いテイクばっかりなんだ。これは試されてるのか、って気がしてきたよ。さもなきゃ、彼は音痴なのか、って。そのテイクがなぜダメなのか、丁寧に説明してったら、最後には、私の思うようにやらせてくれるようになった。
-
彼のプロデュースをしたいって、ずっと思ってた。だが、ライブ盤となると、話は違う。大したバックバンドじゃなかったし、何とも妙な経験だったな。
あはは、ディランを捕まえて音痴って、滅多な人は言えないだろな。何となく、手塚治虫は絵が下手だって言い切った水木しげるを思い出す。水木が少年時代に描いたっていう天才的、驚異的な絵を見たら、誰も黙るしかないかも。
最近の記事
- 2023/7/29 - ロバート・フリップ、イーノやボウイやクリムゾンを語る (1/4)
- 2023/1/22 - ジェフ・ベックを語る
- 2019/9/21 - トーマス・B・W・ベイリー、日本のインディー系レコード店を語る (1)
- 2019/9/13 - ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムを語る
- 2019/4/27 - ラルフ・ヒュッター、過去をふり返る (1/3)
- 2018/8/2 - パトリック・オハーン、フランク・ザッパなどを語る (1/4)
- 2018/5/23 - トニー・ヴィスコンティ、T・レックス「Electric Warrior」を語る (キャリアを語る (1))
- 2018/4/16 - ドゥイージル・ザッパ、アラン・ホールズワースを語る (1/2)
- 2018/1/11 - デイヴ・グロール、ジミー・ペイジ&ロバート・プラントと語る (1/7)
- 2018/1/7 - アラン・ホールズワース、ファンの質問に答える (1/4)
人気の記事
- 2016/1/26 - トニー・ヴィスコンティ、デイヴィッド・ボウイを語る
- 2015/12/1 - 色んな関係者、ジェフ・ポーカロを語る (1/3)
- 2014/9/8 - ロバート・フリップ、「キング・クリムゾンの掟」を語る
- 2013/9/9 - コージー・パウエル、デビュー当時を語る (自らのキャリアを語る (1/12))
- 2013/2/9 - ラルフ・ヒュッター、クラフトワークの音楽を語る (1/4)
- 2012/7/4 - エドワード・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・ルカサーと語る (1/14)
- 2012/6/1 - スコット・ハルピン、キース・ムーン代役事件を語る (1/2)
- 2012/5/11 - テリー・ボジオ、エイドリアン・ブリューを語る
- 2012/3/31 - 記者、リッチー・ブラックモアを語る
- 2012/1/15 - スティーヴ・ヴァイ、ヴィニー・カリウタを語る