ジェフ・ベック、キース・ムーンを語る (1/17)
キース・ムーンの伝記「Dear Boy: the Life of Keith Moon」の著者が、原稿の元になったインタビューを幾つかウェブに掲げてて、その一つ。1996年とのこと。
→ Tony Fletcher's iJamming! | Jeff Beck on Keith Moon
→ Amazon | Tony Fletcher - Dear Boy: the Life of Keith Moon (1998)
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キースに会ったのはスピークイージーかどっかの飲み屋だ。カーナビー・ストリート (ロンドンのショッピング街) に行けば、奴はすぐに見つかる。シャツを洗う代わりに、一日おきくらいに新しいのを買いに来てたから。いつもいたのはクロムウェリアンとかのナイトクラブで、そこでよく会ってた。タウンゼントとはあまり会わなかったな。奴と俺は、んー、ライバルなんだ。キースと俺は気違いどうしだった。奴といるのは、いい治療になったよ。
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すごく優しい奴でもある。なんでか判らないが、いつも声をかけてくれる。俺がホットロッド (改造車) にハマってるのを知ってて、ただ、いい車が売りに出てるから見にこいよって呼ばれても、植物が絡まったりしてて、とんでもない代物だったりするんだ。
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奴はビーチボーイズのマニアだし、奴のピンクのロールスロイスでよくドライブしたよ。Lilac 60s (ストラトの特別仕様) や62 Rollerを持って、ビーチボーイズをかけながら一緒に乗ってると、素敵な夜の始まりだ。「Don't Worry Baby」が奴のお気に入りだった。ナイツブリッジのアンダーパスを時速160kmで走り抜ける。車にマイクとアンプを取り付けて、当時としてはハイテクだったな。ラジエーターグリルにスピーカーを付けてあって、通りの自転車やバイクに向かってキースが「ただちに降車せよ!」ってどなる。そして、蛇行運転したり急停車したりする。同じことをバイクの警官にやった時には、俺は身をすくめてた。
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朝の7時には、もうヘロヘロだ。歩道に車を乗り上げて、「すいませーん。スーツを買うんで、店に入れてもらえますか」。奴は店に飛び込んで、こっちが降りる間もなく、スーツを買って出てくる。どこが「Don't Worry Baby」(心配するな) だ。ずっと大笑いしっぱなしだと、他の表情ができなくなるし、あごが痛くなってくるし。奴と一緒にいるのがいいことなのか、判らなくなってくる。夜も昼もそんなだった。
今日のおまけ:
こないだNHKの「漫勉」で池上遼一の作画風景を見て、齢70を越えてなお他を寄せ付けない問答無用な画力に、ただただ圧倒されてた。だもんで少し調べてみてたら、なんと「池上遼一の描くザ・フー」なんてのを発見。1974年頃だそうで、今の今まで全く知らなかったぞ。何なんだ、こりゃ。
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