ジェフ・ベック、キース・ムーンを語る (12/17)

31 March 2017  |  Tags: Jeff Beck, Keith Moon

— 奴は多動性障害だったのかも知れない。どう控えめに言ってもな —

キース・ムーンの伝記「Dear Boy: the Life of Keith Moon」の著者が、原稿の元になったインタビューを幾つかウェブに掲げてて、その一つ。1996年とのこと。

→ Tony Fletcher's iJamming! | Jeff Beck on Keith Moon


  • 奴には「こんなふうになりたい」とかは全くない。人生を楽しむためなら何だってやるってふうにしか見えない。奴の家は、誰も知らない場所でやりたい放題やるための、人工的なナンセンス、ファッション・アクセサリーなんだ。気違い農場だよ。ただ、あそこに2時間以上いるのは拷問じゃないかな。見かけもそうだし、臭いもそうだし。

  • 当時、結婚生活の問題が奴の頭から離れずに、いつも奴を悩ましてたのは間違いない。だが、だとすると、あの女を俺の部屋に来させたのはなぜなんだ? 奴が行くように言ったって女が言ったような気がするんだよな。仲良しのあかしの、プレゼントみたいなもんだったのか?

  • 奴は、もしも役者になってたら、驚異的だったんじゃないかな。映画「Tommy」の小父さん役だって、絶品だっただろ。ニュートンの真似だって、ニュートンがよみがえったかってくらいだ。そういえば、たしかニュートンは酒が原因で死んだんじゃなかったかな。いずれにしても、奴は何か違うことがやりたかったんだよ。奴にとってドラムスは、列車番号を見分けて喜ぶ鉄道マニア (*) 並みに退屈だったんだ。

  • 奴は多動性障害だったのかも知れない。どう控えめに言ってもな。ほとんど統合失調症だ。ただ、やたら面白い方向へのね。奴の名言はとんでもないものばっかりで、あんなに笑ったことはない。レコーダーを持ってればよかったよ。まるで、映画監督が「アクション!(撮影開始)」って言って、奴は自分の役柄を完璧にこなす、そんな感じなんだ。洋服屋に飛び込んで、女物の帽子をかぶって走り出てきて、また戻る。そんな万引きをとがめられずにやれるのは、奴だけだ。


(*) 原文は「trainspotters」。このインタビューと同じ1996年の映画「Trainspotting」で有名になった言葉だが、そこでは麻薬中毒の意味で使われている。

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