ロバート・モーグ、シンセサイザーを語る (5/10)
シンセサイザーの父、ロバート (ボブ)・モーグが、自らの半生などを語っている。Red Bull Music Academyの2003年の公開インタビューより。なお、本人は2005年に亡くなった。
→ Red Bull Music Academy | Bob Moog
シンセサイザーの噂はすぐに広まりましたか。
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エマーソン・レイク&パーマーが (シンセサイザーを持ち運んで) ツアーを始めてからは、どんどん広まって行ったよ。
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だが、我々は小さな会社だし、作ってるシンセサイザーは、けっこう値のはる中身がぎっしり詰まってて、全てアナログだし、安いものではなかった。良い音にしようと思ったら、少なくとも千ドルはかかる。当時は大金だった (だから、噂の割には売れなかった、と言いたいらしい)。
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1971年にシカゴの楽器展示会で、初めてシンセサイザーを出品した。よく憶えてるよ。楽器店の関係者がやってきては、浮かぬ顔でじーっと見た挙句に、(変な顔をして)「こりゃ何だ?」。「シンセサイザーです」。(また変な顔で)「何ができるんだ?」。それで、あちこちノブをいじりながら音を出すと、「こんなもの、売れると思ってるのか? ミュージシャンがのってくると思ってるのか?」。そう言い残して、去って行くんだ。
Arpや (Minimoog) Model DやVoyagerを見ると、あることに気づきます。あんな未来的でSF的な音を出す楽器が、なぜ木を使ったり、レトロな外見なんですか。
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どんな音を出すべきか、なんて考えたことはない。すでにある音を出すための楽器ではないんだ。これまで一緒に仕事してきたミュージシャンは、様々なジャンルで、皆それぞれ違うビジョンを持っていた。我々は、できるだけ何にでも使えるように、作ってきた。ある特定の音を出すためには作ってない。
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なぜ木製で、青く光る大きくて分厚いホイールが付いてるのか? それが心地よいからだよ。ミュージシャンは心地よいかどうかを、普通の人より気にする。例えばこの会場にも、(Apple Mac Powerbook) G4を使ってる人が大勢いる。それは私のPCなんかより、使ってて心地よいからだろう。ミュージシャンにとっては、それが大切なんだ。だから、キーボードもフロントパネルも、ノブを回すとどうなるかとかも、ミュージシャンが心地よいように作ってある。
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どこからいじり始めてもいい。これはVoyagerで、1年前くらいに売り出したが、Model Dより少しだけ進化してる。最大の違いの一つは、フロントパネルの全ての設定を記憶しておいて、後から呼び出して再現できることだ。ある音 (の設定) を呼び出して、少し変更したりも出来る。
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もしも君がキース・エマーソンなら、色んなノブをあれこれいじりながら、音作りを身につけていける。もしも君が理系の人間で全体の構成を把握したいなら、マニュアルを読めばいい。オシレーターが3つあって、パネルがオシレーターごとに区切ってあって、ピッチレンジや波形を選べるとかね。
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