ピーター・ゲイブリエル、「New Blood」などを語る (2/7)

19 August 2017  |  Tags: Peter Gabriel

「The Quietus」っていうアート系サイトの2011年9月の記事より。ちょっと古いが、「New Blood」のリリースに合わせて行われたインタビュー。いつになく色々と語っている。

→ The Quietus | An Invasion of Privacy: Peter Gabriel Interviewed


アルバムは「Rhythm of the Heat」から始まりますが、元々は「Jung in Africa」ってタイトルでしたよね。カール・ユング (心理学者) がエチオピアに崇高体験の調査に入った時、実際に儀式を目の当たりにしたら、ひどく恐ろしくなったって逸話から来てるって聞いてます。そういう探求心と恐怖心の二者対立みたいなのは、あなたの中にもあったりしますか。

  • そうなんだよね。彼は西洋人の思考プロセスを色々と明らかにしてくれたわけだけど、そういう西洋人が、いきなり自分のコントロールが全く効かなくなって、自分より大きな何かに支配されてしまう感覚ってのは、アフリカの音楽を探求してる時に幾らか感じたよ。

そういえば、あなたは「もう一つの意識 (altered states)」を追求して、逆さにぶら下がったり、瞑想したり、浮遊タンクに入ったり、色々してますが、けど、ドラッグはやらないですよね。

  • 唯一LSDには前は興味があったが、やらないね。9歳の息子を見てると、よく悪夢にうなされて、ひどく怯えてる。私も小さい頃、そうだった。それをもっと増幅したいなんては思わない。

  • ある時、歌詞を書いてて、行き詰まったことがある。クルーの一人が大麻入りケーキを焼いてたんで、何か効くかもと思って、ちょっと食べてみた。何も起きない。なので、丸ごと食べてしまったんだ。そして机に向かってたら、いきなり銀の閃光が襲ってきて、頭の前で炸裂した。自分は死ぬんだって確信したよ。手元にカセットレコーダーがあったんで、これは最期の言葉を録音しないとな、って思って、それを持って、1マイルくらい離れた自宅に向かい始めた。今カセットを聴き直すと、途中の小川に落ちて、悪態をついてるのが入ってる。そしたら、次はイバラのやぶだ。何とか家に帰り着いたら、妻は私が血まみれ、泥まみれなのを見て、交通事故にあったと思ったそうだ。なのに、なんでカセットレコーダーを手放さない?、って。

そのドタバタから、何か教訓が得られたりしましたか。

  • もちろんだ。人生、それはちょっとずつ同期のずれた4台のビデオ・プレーヤーなのだ (笑)。しかもだ。その事実を知らされているのは、この私、ただ一人だけなのだよ。

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