ピーター・ゲイブリエル、「New Blood」などを語る (6/7)

06 January 2018  |  Tags: Peter Gabriel

「The Quietus」っていうアート系サイトの2011年9月の記事より。ちょっと古いが、「New Blood」のリリースに合わせて行われたインタビュー。いつになく色々と語っている。

→ The Quietus | An Invasion of Privacy: Peter Gabriel Interviewed


ツアーの最中に、スイスで警察に逮捕されたことがあるというのは、本当ですか。

  • 本当だよ。ドイツ赤軍のテロリストと勘違いされたんだ。イタリアからスイスに入って、フランスのライブに向けて車を走らせてる時だった。少し遅れてたんで、こう言った。「フランスのプロモーターに電話したほうがいいかもね。心配させないように、サウンドチェックには間に合わないけど、本番には間に合うって」。ザンクト・ガレンで公衆電話を見つけて、道端に車を駐めて、10分くらい電話と格闘してた。携帯電話なんか無い時代だったからね。私は少し喉を痛めてて、顔の下半分を黒いスカーフで被ってた。トニー・レヴィンの奥さんは、その頃に流行ってたミリタリー・ファッションで決めてた。それを見た市民が、当局に通報したんだよ。ちょうど1〜2週間ばかり前に、ドイツ経営者連盟の会長が誘拐されて殺害されたばかりだった。

  • いきなりマシンガンを持った警察隊が車8台で駆けつけて来て、私たちを逮捕した。一番恐ろしかったのは、彼らは私たちをテロリストだと思って恐怖で震えてるのに、私たちは何が起きてるのか、まるで判らなかったことだ。彼らは私たちを地べたに這いつくばらせて、持ち物を調べまわったけど、何も見つけられなかった。私はドイツ語もイタリア語もフランス語も少し喋れるけど、聞いても彼らは何も答えなかった。私たちと喋っちゃいけないって言われてたんだろうね。共謀したりしないように、私たちは一人ずつ別々の車で連行された。

  • ツアーマネージャーのスーツケースには、現金がぎっしり詰まってた。ツアー中は普通のことだよ。そのスーツケースには、ライブ会場への地図も入ってたんだが、彼らは銀行への地図だって思い込んだんだ。全員、牢屋に放り込まれて、女性はみんな泣いてるし、本当に恐ろしかった。「私たちはミュージシャンなんです」って言ったら、「ばかばかしい。楽器を持ってないミュージシャンが、どこにいる」。「楽器は別のトラックで運んでるんです」って言っても、信じてもらえなかった。それで、牢屋の中で「Excuse Me」を合唱でよれよれ声で歌い始めたら、彼らもほぐれ始めて、もういっぺん調べてみようって言ってくれた。そうしたら、スーツケースからスイス公演の書類が出てきて、彼らは電話し始めた。そうして、その2時間後にようやく解放されたんだ。フランスのライブ会場にたどり着いたのは、夜の11時だった。あんまり遅いんで、聴衆は暴れ始めてたけど、それからライブをやったんだ。


« 始め続く ›



最近の記事

人気の記事