トニー・ヴィスコンティ、マーク・ボランを語る (1) (キャリアを語る (11))
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。
→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti
ジョン・レノンの話も笑えますけど、キャリアの中で最重要なマーク・ボランとデイヴィッド・ボウイについて聞かせて頂けますか。
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先に会ったのはマーク・ボランのほうだけど、1ヶ月くらいしか違わない。師匠でプロデューサーのデニー・コーデルの下で、ジョー・コッカーのアルバム「With a Little Help from My Friends」のミキシングをしてた。そんなに時間はかからなかった。そうしたら、師匠が「自分自身のバンドを見つけてくるといい」って言ってくれた。
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当時はアンダーグラウンドな新聞だった「Time Out」(ライブ情報などがよく載る。今はメジャー) を見てたら、トッテナム・コートのUFOってクラブに毎週水曜、ティラノサウルス・レックスってバンドが出てるんだ。「そんな変な名前をつけるようなバンド、どんなだか見に行ってみないとな」って思ってた。たいていは、ジョー&ザ・マイティ・ヒープ、みたいなありふれた名前だったからね。
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なので、「自分のバンドを見つけろ」って言われたその日に、UFOに行ってみた。階段を降りてったら、店内から音楽が聞こえてくる。「なんだか気に入ったぞ。まだ見てもないのに」。アコースティック・ギターとボンゴ、そしてマークが歌ってた。憶えてるかどうか、彼はよれよれな歌いかたで、わざと大げさな発音をする。フランス語で歌ってるのかと思ったよ。だけど、美しかった。客の騒ぐ声が何も聞こえてこなかったんで、店内は空っぽかと思ったら、200人くらい、じっと黙ったまま、彼の歌声のニュアンスに聞き入ってる。ザ・ビートルズを見つけにイギリスに来たら、代わりにフォーク・デュオを見つけたってわけだ。
そんななれそめだったとは。知らなかった。名前勝ちか。
ちなみに、最初はロンドンのローカル情報紙 (誌) だった「Time Out」は、今じゃ世界展開してて、こんなことにもなってる。
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