トーマス・B・W・ベイリー、日本のインディー系レコード店を語る (3)
今回はちょっと趣向を変えてみた。トーマス・B・W・ベイリーって人、よく知らないんで申し訳ないけど、アメリカで電子音楽の方面で活動してるそうだ。日本に住んでたことがあって、日本のレコード店を訪れた時の衝撃を語っている。「Perfect Sound Forever」サイトの2008年12月の記事より。
→ Perfect Sound Forever | A Salute to Japan's Independent Record Shops
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穏やかで上品な紳士の東瀬戸 悟は、1983年から大阪の「Time Bomb」(正しくは「フォーエヴァー・レコード」) で働いていて、「Bananafish」誌 (サンフランシスコの音楽系同人誌) にも寄稿したりするし、相当な数のライブを聴いてきているようだが、やはり「円盤」をほめていた。彼が「円盤」の店主の田口から聞いた話では、「昼間より深夜のほうが、CDがたくさん売れるんだよ。どの客も店で酒をがんがん飲むからね」。
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「円盤」は、単なる色んな要素の変てこな組合せってだけではない。音楽を身近なものにする実験的な試みなんだ。それは、理想の世界で言えば、音楽ってものを皆で一緒に作っていく実験的な試みだ。「円盤」ではほぼ毎晩ライブイベントで盛り上がる。「謎の歌う医者たち」とか、「サイン波の女王」Sachiko M.とか、私自身も一度出演したことがある。
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「円盤」は、西新宿の界隈にうじゃうじゃある (少なくとも40軒はある) レコード屋とも一線を画している。商売より客との交流を大事にするんだ。店主の田口も、音楽系雑誌「nu」の創刊号で語っている。「店に入ってきたお客が、いったいぜんたいこりゃ何なんだ?、みたいな顔したら、それはそれで最高だ」。
「Bananafish」誌は、日本のノイズ・ミュージック (Japanoise) を欧米に紹介したことでも知られていて、東瀬戸も寄稿して「ハナタラシ」を紹介したりしている。ちなみに、この誌名はサリンジャーの短篇「A Perfect Day for Bananafish」から来ていて、吉田秋生の漫画とは関係ない。
→ Wikipedia | ハナタラシ … いやはや、すげーや。
→ Wikipedia | Sachiko M. … 本名は松原幸子。
Japanoiseについては、なんと米国デューク大学から大部の研究書が出版されてて、PDFでも閲覧できるんだけど、ついこないだ訳書が出版されてたんだね。
→ Duke University Press | David Novak - Japanoise: Music at the Edge of Circulation
→ 水声社 | デヴィッド・ノヴァック - ジャパノイズ: サーキュレーション終端の音楽
今日のおまけ:
こないだネットをさまよってたら、妙なものを見つけた。某元オーディオ評論家がオーディオ雑誌の実態を暴露したもの ... らしい。たとえガセねたの贋作だとしても、この日本語力は素晴らしい (笑)。
→ Pro Cable | BELDEN ベルデン 8412
すごく長いページで、下のほうの「Wさん」ってところに出てくる。「暴露者の元原稿の語句 → 編集部が修正した結果」。どうせそんなもんだろってのは周知の事実だけど、実例が出てくると、やっぱりかなり笑える。
- 広がりが悪い → まとまりが良い
- 個性がない → ニュートラルな性質
- 次のモデルを期待し、現行モデルは購入を見合わせたほうが良い → 使いこなしで可能性を持つ製品として十分に評価できる性能である
- 問題外の音 → 楽しい音
- 堅苦しい → 格調を持った音の雰囲気
- 散漫でまとまりがない → 響きが緩やかに拡散して行き、大変好ましい
- ひどい → ケーブルを選ぶことで、さらに改善できるはずだ
- まあまあ → 好感を持った
- やかましい感じ → しっかりしたきれいな音で明るい傾向で冴える
- 面白みに欠ける機種 → 実力ある実用機
- 締りがない → 適度な柔らかさと潤いをたたえている
- 最上級機種とは比べようもない質の低下 → それぞれが別の山脈のトップモデルと評価するのが妥当
- ひどい音 → かなり個性的な音
- 評価不能 → エージングが進み音がこなれてきた時点で再評価したい
- 評価できない → スッキリした再生を狙うにはスパイクは必須
- 味気ない → 自然で心地良く率直
- 低音は期待してはいけない → 低音はヴォリュームを上げると豊かになる
- 無個性 → これ一台あればって感じのスピーカー
- 無味無臭 → ちょっとモニター的な感じがするんだけど
- 味も素っ気もない → ちょっと辛口な音
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