トニー・ヴィスコンティ、デイヴィッド・ボウイを語る (4) (キャリアを語る (16))

10 August 2021  |  Tags: Tony Visconti, David Bowie

プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。

→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti


さて、「Scary Monsters」まで早回ししましょうか。大好きですよね。

  • 大好きだ。

なぜですか。

  • あの頃は、「自分たちの『Sergeant Pepper's』を作りたいね」っていつも言い合ってた。あれはビートルズの最高のアルバムだ。最も手の込んだアルバムでもある。そして、アルバムを作る度に、「よし、次こそは『Sergeant Pepper's』だ」って笑い合ってたんだ。「Scary Monsters」も、そうやって作り始めて、本当に素晴らしいものが出来上がった。評価も最高だったし、沢山カバーされた。ロンドンの新しい時代を切り開いたんだ。あらゆるレベルでね。ベルリン3部作がそのお膳立てになった。あの3部作からは、実に色んなことを得てる。全てのトラックが気に入ってるし、考えてたこと全てをやり尽くしたって言っていい。

  • 没になりかけた曲もある。レコーディングの最終日、ミキシングをしてたら、彼が「この曲、仕上げられそうもないや」って言い出した。「何を言ってんだよ。こんなすごいリズム・トラックじゃないか」。彼は、カルロス・アロマー(ギター)、ジョージ・マレー(ベース)、デニス・デイヴィス(ドラムス)と、ジャマイカでジャムってた時に、その曲の原形を作った。なので、その頃は「Jamaica」って曲名だった。で、ロバート・フリップって有名なギタリストに弾いてもらって、さらにキーボードも載せた。そして、私は彼に歌詞を作ってくるように言ったんだけど、その日までに書いててこれなかったんだ。それで没になりそうになった。結局、次の日に歌詞を、どうやってかは知らないけど、書いてきて、それが「Fashion」になったってわけだ。

  • この曲は、頭に「フッ、フッ、フッ」って音が入ってるだろ。あれはキーボード奏者(アンディ・クラーク)が使ってたクリック・トラックなんだ。なんであんな音を使ってたのかは、判らない。だけど、とっても面白い音だったんで、スタジオでその場で、そのまま曲に入れることにしたんだ。前もって考えてたわけじゃない。


こんなに間があいちゃうと、どこまで紹介してあったか、探し出すところからやり直さないといけない。いかんなぁ。

今日のおまけ:イタリアの打楽器集団によるELP「Tarkus」の、かなり忠実なフル・カバー。面白い。

→ YouTube | Tarkus Suite Performed by Art Percussion Ensemble

今年は「Tarkus」50周年だから、やってみたんだそうだ。やっぱりみんな好きなんだね。

けど、そういうことじゃ、「(Zeppelin IV)」「Layla」「Sticky Fingers」「Who's Next」「Master of Reality」「Imagine」「Every Picture Tells a Story」「Electric Warrior」「Island」「Meddle」「Fragile」「(Soft Machine) 4」「What's Going On」「There's a Riot Goin' On」「Tapestry」「4 Way Street」「at Fillmore West」「Live Evil」、どれも50周年だ。

それはさておき、「Tarkus」、特に組曲の頭の「Eruption」は、今じゃエレクトーンの教則雑誌にも載ってるし、小学生でも弾く。

→ YouTube | Tarkus ELP 8 Years Old Electronic Organ

個人的にはそれよりも、フォーカスの「Eruption」をエレクトーンで弾いてコンクールに入賞した人がいる、って話のほうが気になる。あんな大曲を、どう料理したんだろ。ちなみに、ヴァン・ヘイレンの「Eruption」は、バイオリンで弾いた人がいたりする。

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