ジョーダン・ルーデス、「The Dark Side of the Moon」「Pawn Hearts」 を語る (プログレの名盤10傑を語る (3/5))
10の内で少なくとも7つのバンドはあまりにベタな選択だし、どうしようかちょっと迷ったけど、とりあえず紹介することにした。「Music Radar」サイトの2012年5月の記事より。
→ Dream Theater's Jordan Rudess: The 10 Greatest Prog-Rock Albums of All Time
ピンク・フロイド「The Dark Side of the Moon」(1973年)
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俺にとって「宇宙的」「空間的」ロックの代名詞のようなバンドだ。他のバンドはメロディで勝負するのに、ピンク・フロイドは「空間」なんだ。まず大きいのが、彼らの音楽はゆっくりしてる。彼らは音楽の深いところで「プログレッシヴ」であろうとしてる。それが魅力だ。俺が元々いたクラシック音楽の世界じゃ、技巧が全てだ。それが、自分のペースでありながら、なおかつすごく効果的ってのが、イマジネーションを刺激するんだよ。それに、あのかっこいいエフェクト。ささやき声とか「On the Run」のシンセサイザーとか、当時よく聴いてたタンジェリン・ドリームみたいだ。シーケンサーを使ってるわけだけど、ゆったりと浮遊するような感じだ。アルバムがあれだけ売れたのは、そのへんに理由があるんじゃないかと思う。
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知ってるように、ドリーム・シアターは「Dark Side of the Moon」ってカバーアルバムを出してる。オランダとイギリスでライブをやった。バカでかいモジュラー・シンセサイザーをツアーで2・3回、苦労して運んで回ってたんだけど、ある時、クルーたちがそれをよろよろ持ち上げてセッティングしてるのを見てね、「あー、彼らにこんなこと、させられないな」と思った。軽く100kgはあるんだから。
ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター「Pawn Hearts」(1971年)
- リード・シンガーのピーター・ハミルは、ピーター・ゲイブリエルと同じで、演技者だよね。強烈なキャラクターだ。1970年代にビーコン・シアターで観たことがあるが、あんなかっこいいライブはなかなかない。ベースがいなくて、キーボード奏者がベース・ペダルで代わりをする。サックス奏者は2本のサックスを同時に吹く。本当にきまってた。ドラマーも感動的だ。そこにハミルなんだ。他にないヴォーカルだよ。「Pawn Hearts」は実に素晴らしいプログレで、その全てが、頭に閃光が走るみたいに衝撃的だ。
本人も言ってるように、「The Dark Side of the Moon」はドリーム・シアター自身でフルカバーしてるくらいなんで、それだけ思い入れの強いアルバムなんだろう。頭の「The」はどこ行った?、とか (笑)。言われてみると、タンジェリン・ドリームが、よく聴いてたって割には、10傑の内に挙がってないね。「Phaedra」とか、今聴いても、良い音楽だと思うけど。
ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターは、キーボード奏者が教会音楽の人なんで、そっち方向に話を持ってくかと思ったら、これじゃ、言っちゃ悪いが、子供の感想文だ (笑)。好きすぎて、冷静には語れない? たしかに強烈なヴォーカルまたはヴォイスで、音楽ってより、詩の過激な朗読に伴奏が付いてるみたいな感じもする。他に全く類がない。ルーデス本人もドリーム・シアターもカバーは無理だろうな。個人的には「Godbluff」「Still Life」が良いかも。
とか言ってたら、同じ「Music Radar」サイトの一昨日の記事に、今度は「ジョン・ペトルーシ、プログレの名盤11傑を語る」なんてのが載ってるじゃないか。こんなだ (これも好きな順じゃなくて、ミュージシャンのアルファベット順)。「プログレ」ねぇ。ふむー。
→ Dream Theater's John Petrucci: The 11 Greatest Prog-Rock Albums of All Time
- Dixie Dregs - Night of the Living Dregs (1979)
- Iron Maiden - Piece of Mind (1983)
- Marillion - Misplaced Childhood (1985)
- Metallica - Master of Puppets (1986)
- Ozzy Osbourne - Diary of a Madman (1981)
- Pink Floyd - The Wall (1979)
- Return to Forever - Romantic Warrior (1976)
- Rush - 2112 (1976)
- Rush - Hemispheres (1978)
- Yes - Fragile (1971)
- Yes - Close to the Edge (1972)
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