デイヴィッド・ボウイ、ベルリン三部作を語る (2/8)
2013/3/30 から 2013/4/6 まで紹介したプロデューサー、トニー・ヴィスコンティの記事と対になってるインタビュー。ボウイ自身が、ベルリン時代の三部作「Low」、「"Heroes"」、「Lodger」について語っている。イギリス「Uncut」誌の2001年3月の記事より前半部分。
→ Uncut Interviews David Bowie and Tony Visconti on Berlin
クラフトワークについて
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ベルリン三部作へのクラフトワークの影響について、色々と言われてるけど、いい加減な話ばかりだ。クラフトワークの音楽へのアプローチは、俺のやりかたとはほとんど接点がない。彼らのは機械的でロボット的で、厳密に寸法を合わせて組み立ててくようなものだ。ミニマリズムのパロディって言ってもいい。フローリアンとラルフはスタジオに入る前に、もう全て仕上げ終わってるみたいに感じる。俺はもっと表現主義的で、主役、自分だけれども、は、その頃に流行ってた言葉で「ツァイトガイスト」(ドイツ語で「時代の潮流」みたいな意味) に身を委ねて、成り行きに任せる。音楽はスタジオの中で、自然に出来上がっていくんだ。
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素材も対極にある。クラフトワークのパーカッションは、電子的に作り出してて、テンポも厳密で、ノリがない。自分たちのは、デニス・デイヴィスっていうパワフルでエモーショナルなドラマーだ。人間だってだけじゃなくて、格別のノリがある。クラフトワークは、四角四面のビートに人工的なサウンドを載せてくる。俺たちはR&Bのバンドなんだ。「Station to Station」から後、R&Bと電子音楽の融合が自分の目標になってた。ブライアン・イーノのインタビューを読んでたら、それで俺と仕事してみたくなったんだそうだよ。
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見当違いな指摘ってことじゃ、「Station to Station」はクラフトワークの「Trans-Europe Express」へのオマージュなんじゃないか、なんてのもある。「Station」のほうが先なんだよ。これは1976年、彼らのは1977年だからね。だいたい、このタイトルは「Stations of the Cross」から来てて、鉄道の駅とは何の関係もない。
「Stations of the Cross」ってのは、調べてみたら、「十字架の道行」って訳されるキリスト教用語で、イエスが裁判の後、十字架を背負わされて刑場まで歩き、磔刑になるまでの一連の様子が、教会の中に14の絵や浮彫りや彫刻になって並んでいる。それぞれの前で順に祈りを捧げていく礼拝のことなんだそうだ。その一つ一つが「Station」、日本語では「留」。
クラフトワークについて色々と言ってるけど、否定してるわけではないので、念のため。真意は次回で明らかになる。ここで言ってるのは、第三者の勝手な評価や解釈がどんだけ的外れなのばっかりだったか、ってことであって。
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