デイヴィッド・ボウイ、ベルリン三部作を語る (8/8)
2013/3/30 から 2013/4/6 まで紹介したプロデューサー、トニー・ヴィスコンティの記事と対になってるインタビュー。ボウイ自身が、ベルリン時代の三部作「Low」、「"Heroes"」、「Lodger」について語っている。イギリス「Uncut」誌の2001年3月の記事より前半部分。
→ Uncut Interviews David Bowie and Tony Visconti on Berlin
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「Lodger」をニューヨークで制作したのは、ベルリンを離れたつもりはなくて、ただの成り行きだ。俺は気分も良くなってきてたんだろうな。人生で最良の、何ものにも代えがたい、かけがえのない時を過ごしてた。ココ (ボウイのアシスタント) とジム (たぶんイギー・ポップの本名、ジェームズ・ニューウェル・オスターバーグ・ジュニアのこと。ちなみに、「イギー」はイグアナから来ている) と一緒にだ。あの解放感は言葉にできない。
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ある時は、3人で車に飛び乗って、目についた小さな村で途中下車しながら、東ドイツを気ちがいのように走り抜けた挙句に、「黒い森」地方 (ベルリンからは最も遠いドイツ南部) まで行く。冬の日には、ヴァンゼー (ベルリン近郊の湖で保養地) で長いランチを取ったりする。木立に囲まれていて、1920年代のベルリンの雰囲気を今でも醸し出してる場所だ。夜になれば、クロイツブルグ (ベルリンの一地域) にある「Exile」ってレストランで、知識人やビートニク達と時を過ごす。その店の裏にはビリヤード台を置いた喫煙室があって、人が絶えず出入りしてる以外は、居間にいる気分だった。
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ある時は、西ベルリンの中心部にある「カーデーヴェー」(KaDeWe) っていう巨大な百貨店にショッピングに行く。信じられないくらい巨大な食品売り場があって、かつて飢餓にあえいでいた国か、とにかく食い意地のはった国か、ってしか思えないくらいだ。そこで時々ちょっと高級っぽいもの、例えばチョコレートとかキャビアとか買い込む。一度、俺たちが外出してる間にジムが冷蔵庫をあさって、その朝に頑張って買い込んどいたものを全て食っちまったんだ。あの時ばかりは、ココと俺は真剣に怒ったね。まだまだ幾らでも喋れる。
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ベルリンを離れるつもりはなかったんだ。ジムはもっと長くいることにした。現地の女性と仲良くなってたんでね。俺は「Elephant Man」の舞台に立つことになって、しばらくアメリカに行かざるをえなくなった。それでベルリンは終わったんだ。
三部作の制作中に、重要性は認識していましたか?
- もちろんだ。理由はどうあれ、経緯はどうあれ、トニーとブライアンと俺は、パワフルで苦悩に満ちた、だが、時には幸せにあふれた音楽を作り出したんだ。誰もがありえないって判ってる未来ってのを待ち望むような感覚を具現したってことでは、当時の他のどれとも違ってた。俺たち3人のベストな仕事って言っていい。孤高だ。俺の全てがあの3枚の中にある。俺のDNAなんだ。
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