ロバート・モーグ、シンセサイザーを語る (8/10)

03 August 2017  |  Tags: Robert Moog

シンセサイザーの父、ロバート (ボブ)・モーグが、自らの半生などを語っている。Red Bull Music Academyの2003年の公開インタビューより。なお、本人は2005年に亡くなった。

→ Red Bull Music Academy | Bob Moog


スタインスキとセイジ (Bugz in the Attic (ロンドンのDJグループ) のメンバー) が、昨日のレクチャーで「テクノロジーの奴隷になってはいけない」って言ってましたが、それはあなたの生計の道を断つことになりませんか。

  • いや、全然そんなことはない。人類の歴史が始まって以来、楽器ってものは常に、その時その時の最先端のテクノロジーを使ってきた。どんな技術が必要かは、どんな音楽をどんなふうに演奏したいかによる。弦楽器は400年くらい前に出来てきたが、当時の最先端だった精密な木工技術のおかげだ。金管楽器は高品質の真鍮を作る技術、そして、それを薄く正確に加工する技術のおかげだ。ピアノは製造技術のおかげで登場できた。たいていの家庭では、ピアノが最もハイテクな機械仕掛けだろう。20世紀には、金管楽器も木管楽器も機械仕掛けの楽器も、新しいものは出てきてない。電子工学の時代だったからだ。アナログ回路、ディジタル回路、そしてコンピューターだ。つまり、これ (シンセサイザー) が20世紀の楽器なんだよ。

アナログ対ディジタル論争については、どう考えますか。

  • ミュージシャンだろうとエンジニアだろうと、誰だって自分が最もなじんでる道具を使う。サウンド作りについて言えば、(ディジタルのほうが) 楽器や機器をつなぎやすいってのはあるな。だが、出来てくるサウンドは、アナログとディジタルとでは違う。それはある程度は技術的な言葉で説明できる。ディジタル波形だと、サンプリングレートを44,000ヘルツ、48,000ヘルツ、192,000ヘルツって、どんなに細かくしていっても、必ず「段」が残る。アナログ波形には段は何もなくて、完全になめらかなんだ。

今日のおまけ。どうでもいい話。こんな本がある:

→ Amazon | どうしてプログレを好きになってしまったんだろう

一方、とある「プログレ名盤」のYouTube動画に付けられていたコメント (元は英語):

  • プログレなんか聴き始めるんじゃなかったよ。ほんと、後悔してる。今じゃ、他のジャンルの音楽は、どれもクソにしか聞こえないし、なのに、あの頃みたいなプログレは、もう新しいのは出てこないし。お先真っ暗だ.....

まじめな話、同じようなことはエディ・ジョブスンも語っている。

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