トニー・ヴィスコンティ、ジョージ・マーティンを語る (キャリアを語る (10))

06 September 2019  |  Tags: Tony Visconti, The Beatles, George Martin

プロデューサーのトニー・ヴィスコンティが、聴衆を前にしたインタビューで、これまでのキャリアを振り返って色々と語っている。「Red Bull Music Academy」が2011年にマドリッドで主催したもの。以前に紹介した 「ボウイのベルリン三部作を語る」 とかぶる箇所もあるが、できるだけ重ならないように紹介するつもり。

→ Red Bull Music Academy | Tony Visconti


ザ・ビートルズの影響も大きいでしょうけれども、ジョージ・マーティンについては、どうですか。プロデューサーの可能性ってものに気づかされたのは、どんな時ですか。

  • 「Revolver」より前のザ・ビートルズは、ポップ・ミュージックだった。だけど、「Revolver」は、もっと心の奥底に響く。LSDやドラッグのことを、あからさまに歌ってる。ジャケットからして、ドラッグ体験だ。タイトルも「ぐるぐる回る」って意味だし。アルバムの最後でジョン・レノンが「in the beginning」(正しくは of the beginning) って単調に繰り返してる。ドラッグをやりながら聴いてた自分は、それを聴いて、じゃぁ、ってんで、また頭から聴き直すのを、一晩中ずっと延々と繰り返してた。50回くらいかな。そうして朝が来て、「そろそろやめなきゃな」ってなった。頭がおかしくなってたんだと思う。いい時代だった (笑)。

  • 「Revolver」が作れたのは、ビートルズ4人だけの力じゃない。ジョージ・マーティンのおかげも大きい。彼が4人のアイデアを具体化したんだ。スタジオ内のハチャメチャを一つにまとめ上げたのは、彼だ。あのアルバム、そして「Strawberry Fields Forever」や「Eleanor Rigby」は、そうして出来上がった。ストリングスのアレンジが、本当に素晴らしい。あれもジョージ・マーティンだ。全て彼のおかげなんだ。

では、「Eleanor Rigby」を少し聴いてみましょうか。

  • 美しいねぇ。ほめたたえよ!

どの部分がザ・ビートルズで、どの部分がジョージ・マーティンでしょうか。

  • ザ・ビートルズの役割は、ボーカルのアレンジだな。4人ともリードが取れるってのは、すごく大きい。全体のアレンジは、間違いなくジョージ・マーティンだ。この名曲は、ザ・ビートルズのあり方のベストな例だと思う。ポール・マッカートニーが、たしかピアノで作ったんだけど、彼は本当におそろしく多才だ。それに、絶対にミスしない。むかつくくらいだ。一度、3時間ぶっ続けでセッションしたことがあるが、一度もミスしなかった。どんどん良くなる。それはともかく、そういうバンドとプロデューサーの関係は、私のキャリアでもモデルになってる。

んー、また、とんでもなく間があいてしまった。ようやく本業が少し楽になってきたんで、ぼちぼち少しずつ復帰できるかな。

今日のおまけ、その1: ブライアン・イーノが歌う「Tomorrow Never Knows」。なお、「801」ってバンド名は「Eight Nought (ゼロのこと) One」って読んで頭文字を取ると「ENO」になる。ドラマーは当時 (1976年) 19歳のサイモン・フィリップスで、これがメジャーデビュー。ちなみに、この曲は他にタンジェリン・ドリームやフィル・コリンズなんかもカバーしてる。

→ YouTube | 801 - Tomorrow Never Knows

今日のおまけ、その2: 生ギターによるキング・クリムゾン「Red」。毎度、本筋と関係ないネタばかりで、申し訳ない。

→ YouTube | The Guitar Circle of Europe: Red

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